■噂と被害者 「被害者が出てる」 「……らしいわよ?」 「これも噂。どれも噂」 「簡単な話よ。被害者が焚きつけになって、噂が再燃焼した」 「日本全国でずーっと燻っているだけの口裂け女が、この町で再起を果たしたのは、多分それが理由。私にはそれ以外はわからないけど」 ■被害者の詳細 「よく知らないわ。隣の校区のことらしいけれど」 「あと、そうね、被害者についてなら、」 「『夕暮れ時』だったらしいわね。遭ったのは」 「逢魔が刻って言うくらいだし、誰かの作った脚色かもしれないけれど」 「私は誰から聞いたわけでも、誰に話すわけでもないわ。何となく集まってくるのよ、そういう話が」 「ここの隣になるのかしら、三砂川小学校の話だってことだけれど」 「まぁ、被害者が本当に居るのかどうか調べたいのなら、然るべき筋を調べるなり、三砂川小を調べるなりすればいいんじゃないかしら」 「噂の真偽を確かめるのは、私の趣味じゃないし、まして義務でもないわ」 ■会ったらどうなる? 「許さない。逃がさない。けれど、殺しもしなかった、って話だけど」 「それで、被害者が生きているってことが、逆にリアリティーを生んだんじゃないかしらね」 ■対処法? 「今日は特別。他に何か聞きたいことは?」 橘 統子 の発言: 「あなたは、もし会っちゃったとしたら、どうする?」 「遭ったら――そうね、どうしましょうね」 「べっこう飴もポマードも、効かないんでしょうね、本当に居るのだとしたら」 白木 柚子 の発言: 「対処法とか聞かないの?当然耳にはいってくると思うけど。」 「当然と言った? 口裂け女に対処法が出来たのは、発生から実に半年後のことよ」 #何を聞くべきだったのか? 他に南野から引き出せる情報は無いか?