体重が増えない悩み


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多い方がいい赤ちゃんですか?

母乳育児をしていて、一番気になるのは多分赤ちゃんの体重に関することだと思います。検診では必ず体重をチェックされ、一日あたりの体重増加を計算されます。そしてそれが平均を下回っていると、決まって「母乳不足」という烙印を押されることになるのです。私自身、何度も「母乳が足りてないからミルクを足せ。」と言われました。医者からも看護婦からも助産婦からもです。

「母乳不足」

この言葉を医療関係者は簡単に使って欲しくないと思います。この言葉に産後間もないママは振り回され、赤ちゃんの体重に一喜一憂するのですから・・・。

でも、体重を増やすことってそんなに大切なのでしょうか?大人だって太ってる人・痩せてる人がいますよね。体重には個人差があるのに、どうして赤ちゃんだけが「まるまると太っている方がいい」などと考えられているのでしょうか。これは、ミルクが開発された頃各地で行われた「赤ちゃんコンテスト」の名残なんだそうですよ。

体重増加は、主に母子健康手帳に掲載されている発達曲線を目安にしています。発達曲線は、ミルクの子も母乳の子も混合の子も、全部一緒にした上ではじき出された平均値です。そもそも、人間の発達を数字だけで判断するのって、変だと思いませんか?特に新生時期の体重増加に関しては、世界保健機構(WHO)が次のようなガイドラインを発表しています。

母乳不足の指標は、生後1ヶ月目の体重増加が450g以下

これを見て安心しませんか?日本での産院における指導と比べて、ずいぶん少ない数字ですね。もしこれを下回る場合は、次のことをチェックしてみて下さい。

・授乳回数は少なくありませんか?

一般に、母乳の分泌を今より増やすには最低でも一日10回以上、今の量を保つには8回以上の授乳が必要です。これより少ない場合は、赤ちゃんのほっぺを軽くつついて起こし、飲ませてあげて下さい。特に新生時期は、母乳を飲むだけで疲れて眠り続けてしまう赤ちゃんもいます。

・夜間授乳はしていますか?

母乳分泌のメカニズムでも少しご紹介しましたが、母乳の分泌を助けるホルモンは夜間にたくさん分泌されます。ママが体を休めることも大切ですが、体重の増加が思わしくない場合は1〜2度でもかまわないので、夜間授乳をしてみて下さい。

・おっぱいは詰まっていませんか?

軽くおっぱいを絞ったとき、おっぱいの筋がシャワーのように飛びますか?もし飛ばなかった場合は、乳頭のどこかが詰まっています。入浴中など、体が温まりリラックスしている時に、マッサージをおすすめします。また、食べ物にも気を付けます。脂肪の多い食事はおっぱいを詰まらせます。和食を心がけ、温かい飲み物をこまめに取ります。

生理的体重減少を念頭に!

「生理的体重減少」という言葉を聞いたことがありますか?赤ちゃんはみんな出生後必ず体重が減るのです。その大きな理由は胎便です。だいたい生まれて2〜3日後に7〜10%前後の体重減少が見られますが、元に戻るのは遅い子だと10日かかることもあるそうです。なぜか多くの医療関係者はこのことを念頭に置いていないため、退院時に早くも「母乳不足」を宣告したりするのです(私は出産3日目に宣告されました)

初乳のこと

それに母乳の分泌は、そんなに早く軌道に乗りません。入院中にあふれるほど母乳がでて困るなんて言うママはホントに少数です。出産後、初めてでる母乳(初乳)がなぜあんなに黄色くてこってりしているのか?それは免疫物質を含んでいるから・・・でも、それだけではありません。

初乳はカロリーが高いのです。

生まれてすぐの赤ちゃんは哺乳力が弱いため、そんなにたくさんのおっぱいを飲めません。だから、少なくても十分な栄養がとれるように、カロリーの高い初乳が出るようになっているのです。だから、退院時に「体重が増えてない。母乳不足です。」と言われても大丈夫!その後の頑張りで挽回できます。

あなたの赤ちゃんを観察しよう

そもそも、発達曲線はミルクの子も混合の子も母乳の子も、全部一緒にした上での「平均」なのです。そこに母乳オンリーの子を当てはめて考えるのは、どうしても無理がありますよね。だから体重増加に一喜一憂するより、まず赤ちゃんの様子を見てあげて欲しいと思います。

・肌のつや(顔色が悪いと感じない・目が澄んでいるなど)

・機嫌(起きている時たまに笑ってくれたり、お話ししてくれたりなど)

・睡眠(短時間でもぐっすり眠れているなど)

・おしっこの回数(最低でも一日6〜8回。汗をかく夏は4〜5回が目安)

それらをクリアした上で、体重が減っていなければ大丈夫なケースが多いもの。

それに、本当に母乳不足で危険と思われる場合は医者もそんなにあっさりと「あ、母乳足りてないよ。」とは言わないでしょう?医学的に必要があるのなら、必要な検査を行った上で具体的に授乳計画を示してくれると思いますし、そうであって欲しい。

体重は、あまり神経質になって毎回計らない方がいいです。10日に一度くらいの間隔を空けて計る方が気も楽ですよ。前回より少しでも増えていれば自信を持って下さい。離乳食が始まるまでは、前月より少しでも増えていて、出産以降緩やかに上昇していれば、それがその子の個性かもしれませんよ。特に生後3ヶ月くらいからは、体重の増え方はゆっくりになる子が多くなります。これは脳が発達して満腹感が分かるようになり、自分に必要な量を赤ちゃん側で調整するようになるからです。そして、離乳食開始以降は赤ちゃんの動きも活発になってきますので、前月と比べて体重が増えない月も出てきます。病気などで一時的に体重が減った場合は別として、極端にガクッと落ち込んだ月がなく、離乳食もしっかり食べているのなら大丈夫です。

それでも体重増加が心配になったら、自分一人で判断せず、まず信用出来る医療機関や各自治体の保健所に相談されるのがよいと思います。「母乳で育てたい」というママの気持ちを汲んで、よいアドバイスをしてもらえるでしょう。


* おしっこが少ないと思ったら

上に書いた回数に満たないほどおしっこが少ない場合、色や臭いも確認してみて下さい。

人間は、身体の約60%が水分です。中でも赤ちゃんはその割合がもっと高く70%を占めています。万が一体内の水分が不足した場合、腎臓は濃いおしっこを排泄することにより、体内の水分を保とうとします。そのため、色や臭いのきついおしっこが出ます。母乳があきらかに不足した場合、オムツを開けたとたん鼻をつくようなアンモニア臭が漂ったり、ハッキリとおしっこに色がついているのが分かります(健康な赤ちゃんの場合、おしっこは無色透明〜ごく薄い黄色ですが、体内の水分が不足すると黄色〜オレンジになります。これは脱水症状を起こしかけている場合もあるので、十分に水分を摂らせ医療機関等に相談されることをお勧めします)

排泄物は健康のバロメーターになります。「紙オムツを丸めてポイッ」とする前にチェックする習慣があった方がよいと思います。母乳育児に限らず、ミルクの割合が多いママも、普段から赤ちゃんのおしっこについて関心を持って下さい。



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