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永遠のアセリア
Recordation of Suppressor


1話 崩壊の犠牲














 一つの影が森の中を疾駆していた。立ち並ぶ木々を器用に避けていき、その速さは人の域を超えている。
 しかし、その影は紛れもなく人間だった。
 二十歳ぐらいの若い男で、顔や手など露出している部分の肌は色白、瞳の色は黒。髪の色は薄茶でざっくばらんに切り揃えている。
 目つきはやや険を覗かせているが、無表情で実際の感情は窺えない。

(方向は間違えていない)

 服装は和服に似たような装束を着ている。
 本来は女物のイースペリア制式の指揮官用戦闘装束を男用に手直ししたものだ。
 美男子ではあったが、容姿にはあまり気を遣わないらしく、髪型や服装の乱れに大雑把さが所々表れていた。
 左の腰には鞘に納められた永遠神剣が差されている。
 形状は鞘を見る限り、直剣のようだった。柄は長く、指を護るためのナックルガードがついている。
 男の名はランセル。イースペリア軍に所属している人間で、エトランジェではなく、イースペリアの生まれである。
 にもかかわらず、エトランジェを除く人間には使えないはずの永遠神剣を使いこなし、最前線の戦いに加わっていた。
 その世界の人間の中でも異端と呼べる人種である。
 ランセルは高い位置にある枝に飛び乗り遠くを見た。

(あとは間に合うかどうかだけか)

 一呼吸してから、彼は枝から跳ぶ。方向は前へと。
 枝がしなり葉を散らしている間に、次の木の幹へと飛び移っている。幹についた脚を曲げ、衝撃を吸収しきったところで次の木へと跳んだ。
 この一連の動作を少しずつ高さを下げながら続け、ある程度大地に近づいたところで着地した。
 着地の時も衝撃を吸収させるために膝を曲げている。
 そして次に踏み出したあとは一歩目から加速していた。
 木を巧みに避けながら、しばらく走ったところでランセルは足を止める。
 森を抜け、辺りが開けた草地になった。草地の先には石垣で囲まれた街、イースペリア王都がある。
 王都の中心には市街を睥睨できる一際高い石造りの建物があった。それがイースペリアの王城だ。

(王城の防衛か……そこまで追い込まれてるとは。女王が無事ならいいが……)

 イースペリア王城は代々の王族が住まい、政務を取り仕切っている場で、またマナをエーテルに変換するためのエーテル変換施設も城内に有していた。
 要はイースペリアが国としての機能を維持するために必要な要素を有している中枢である。
 その王城も今ではサルドバルト王国によって攻められている。
 元はイースペリアとサルドバルト、さらにラキオスの三国は『龍の魂同盟』と名づけられた軍事同盟を結んでいた。
 その『龍の魂同盟』をサルドバルトは突如破棄し、イースペリアへ侵攻してきたのが発端だ。
 イースペリア側はサルドバルトの裏切りを想定していなかったせいで、国境線を次々と破られ現在に至る。

(日和った国だと思っていたが、サルドバルトも思ったより鋭い牙をしている)

 ランセルは頭の中で自分の発言を訂正する。
 サルドバルトではなく、後ろ盾になっているはずのサーギオス帝国の牙が鋭い、と。
 そのサーギオス帝国がどの程度の戦力をサルドバルトに投入しているかは分からないが、同盟を裏切るに足りるだけの戦力はあるに違いなかった。

(……急ごう。嫌な予感がする)

 事実、彼の持つ神剣は不明瞭な警告を発し続けていた。
 彼は全力で王都まで走り、突入すると同時に鞘から己の永遠神剣『鎮定』を引き抜いた。
 王城に向かうまで誰にも会わないことに彼は不安を感じる。明らかに何かがおかしい。
 その異変の正体に気付く暇もないうちに、ランセルは城門にたどり着いた。
 跳ね橋は下がったままで王城の門も開いていて、守るべき兵はどこにもいない。

(只事じゃないな)

 周囲への警戒を解かないまま、彼は城内へと滑り込んだ。
 彼の視界には、今だ誰一人いない。












 『鎮定』が鋭い警告を発していた。
 息を深く吸い込み、少しだけ気を落ち着かせる。空気には血の匂いが混ざっていた。
 『鎮定』の警告に耳を貸す。明確な言葉は聞こえないが、イメージを伝えてくることは多い
 意識を集中する。
 頭に思い浮かんだのは、アズマリア女王と相対する誰か。相対する相手は靄がかかったようにぼやけて見えない。

(それで十分だ)

 相手が誰であれ、アズマリア女王は自分が守る。
 城内を走り出す。女王がいる塔までの道のりは頭に入っている。
 塔に向かうまでの間に、何人もの兵士の躯を見かけた。
 争った形跡は少ない。その暇さえなく襲撃されたのかもしれない。
 となると少数精鋭による切り崩しが行われたのか。そう考えれば、この事態を説明できる。

(厄介な話だ……下手に足止めをされたらたまらないな)

 今は戦いに時間を取られたくはない。
 進んでいくと前方で道が三つに分かれている。正面と左右の三方向で、そのまま正面に行けば女王のいる塔に行ける。
 そのまま直進するはずだったが、右の道の様子が視界に入ってしまい、思わず足を止めていた。
 そこには敵のブルースピリット二人に追い詰められているグリーンスピリットの姿がある。
 グリーンスピリットは満身創痍で、槍状の神剣を杖代わりにすることで辛うじて立っている状態だ。
 対するブルースピリット二人は特に負傷した様子も疲弊した様子もなかった。
 数で不利なだけでなく、実力差でも一方的なのかもしれない。

(サルドバルトではない。サーギオスのスピリットだな)

 女王か手負いのスピリット、どちらを優先すべきか。
 本当に優先しないといけないのはアズマリア女王に決まっている。

(しかし――あの人はスピリットに対し偏見を持たない)

 それだけにここでグリーンスピリットを見捨てたら、いい顔をしないだろう。

(それに、この場にいたらスピリットを助けるように言うだろうな)

 予感だが、間違えてはいないと思う。
 だから、気配を殺したまま近づいた。『鎮定』を音の鳴らないように構える。
 グリーンスピリットが立っているのも辛いのか、床に片膝をついた。
 手前のブルースピリットが神剣を掲げる。止めを刺すつもりか。

(だが、遅い)

 『鎮定』を背中から突き刺す。
 湿っぽい音といくらかの抵抗を返して、剣身が深々と突き刺さり腹から飛び出した。
 刺されたブルースピリットは信じられないものを見たように、自分の体から突き出た刃を見る。
 一声も発さずにそして後ろを振り向こうとして、できなかった。剣を捻るように引き出しながら、背中を蹴り飛ばしたからだ。
 引き抜かれた剣から血が迸る。その時には体が金色の光に変わりマナに戻り始めていた。
 もう一人が、こちらに振り向こうとする。
 抜いた『鎮定』を横から払った。ブルースピリットは胸元を深く裂かれ、悲鳴を上げた。

「ああああぁぁぁぁっ!?」

 悲鳴を聞くのはいい気分じゃない。感情をかき乱されそうになる。
 返す形で喉も切り裂くと、まだ暖かい返り血が飛び掛ってくる。この血も時間を置けば、勝手に消えてしまう。
 ブルースピリットは糸の切れた人形のように両膝を突き、小刻みな痙攣を繰り返していた。
 じきに動かなくなる。肉体がまだ消滅を認めていないだけだ。
 グリーンスピリットはどこか呆然とした表情でそれを眺めていた。

「無事か?」
「え、えっと……はい」
「じゃあ傷の治療でもするんだな」

 それからすぐに我に返ったのか、詠唱を始めた。

「大地よ、傷つき嘆く者に力を。アースプライヤー……」

 グリーンスピリットの周りの床が緑に輝き、そこからマナが流れ込む。
 見る見るうちに表面の傷が塞がっていく。もっとも体の中はどうか分からないが。
 ……せっかく助けたのだから、状況ぐらい聞いておいたほうがいいかもしれない。
 女王を助けるのを急ぐべきかもしれないが、この様子だとそこに行くまでどうなっているか。

「何があったか聞かせて欲しいんだが?」
「あの……あなたは?」
「……イースペリア軍スピリット隊特務員『鎮定』のランセル。何があった?」

 俺の名を聞いた途端、グリーンスピリットは急に安心したような顔つきになった。
 真面目そうな顔つきをしていて、まだどこかあどけなさが残っている。
 存在を得てから、それほど長い時間は経っていないのかもしれない。

「あなたが『鎮定』の……王城は突然正体不明のスピリット隊の奇襲を受けました。敵の規模は分かりませんが、各所の連絡を断たれて今は……」
「アズマリア女王はどうなった?」
「分かりません……まだ無事だとは思いますが。急ぎ女王の元へ向かおうとしたところ、先ほどのスピリットたちに襲われ……」

 それだけ聞けば十分だった。
 王城に詰めている人間とスピリットは文字通りの全滅、よくても分断されている。
 こんな状態では、まずはどこかに一度戦力を終結させるか、各個で重要な場所に向かうかだ。
 前者なら、まだどこかに兵力が残っているかもしれないが、後者だと最悪さらに各個撃破されているかもしれない。
 どちらにせよ救援は期待できそうになかった。ならば自分で動くしかない。
 振り返り、女王の下へ行こうとしたところを呼び止められた。

「待ってください。私も行きます……決して、足は引っ張りませんから」

 彼女の言葉には強い意志を感じられた。意外に芯の強い性格をしているのかもしれない。

「……名は?」
「あ……アリカ。アリカ・グリーンスピリットです」
「ならアリカ、遅れるな。遅れても待たない」

 彼女の返事も待たずに走り出すと、すぐに彼女の足音が追ってきた。
 本来行くべきはずだった道を進む。
 通路をしばらく歩き、今度は左に曲がる。そこから右手側にある二つ目の扉、そこから女王の住まう塔に行ける。
 木製の扉は大きく作られていて、人二人が並んで通ってもまだ余裕がありそうだ。
 扉の前で一度立ち止まると、アリカが少しだけ遅れてやってきた。

「開けるぞ」

 扉に手をかけた瞬間、耳をつんざく爆音が轟いた。
 音の出所は扉の先だ。扉が外からの衝撃に何度も震える。
 その振動を指で感じているうちに、塔で何があったのかを理解できた気がした。
 だけど、それを認めてはいけない。認めてはいけない、認めてはいけない、認めてはいけない。
 女王はこんな所で死んでしまうべき人ではない。だから――認めてはいけない。
 扉が壊れていた。押しても引いても開こうとしない。

「ふざけるな」

 『鎮定』を振るう。扉を縦と横に三度ずつ切り裂き、十六個の木片を吹き飛ばす。
 扉の先から土煙と埃が入り込んでくる。土煙が濛々と舞っていて息苦しかった。
 視界が悪く、ここでは何が起こったのか分からない。
 だから塔があるべきはずの場所へと、踏みいった。
 そこにあったのは瓦礫の山で塔などすでになくなっている。
 あたりに広がる夥しい量の瓦礫は塔を形作っていたもので、少し前まで塔と呼ばれていた建築物の名残だ。

「アズマリア女王」

 自分でも驚くほど静かな声で呼びかけた。
 大丈夫、俺は落ち着いている。落ち着いていることを冷静と呼ぶ。
 冷静だから状況を正確に把握できるはずだ。
 答えは目の前にある。
 塔は何らかの理由で崩壊した。
 アズマリア女王は自分と違って、ごく一般的な人間だ。
 聡明ではあるが、肉体は人間の域から決して出られない人。
 そういう人が崩れる塔から脱出するにはどうすればいい? 脱出じゃなくても崩落に耐えるにはどうする?

(運に頼るか?)

 運はどういう形であれ頼るのだから、方法としては不適格だ。
 崩れ行く瓦礫を避けて着地する。前提条件からすっかり外れている。よって却下。
 丈夫な物……クローゼットやタンスにでも入ってやり過ごす。
 塔が石造りの建物であるから、瓦礫は当然石ばかりである。だが、その中に混じって木材が見え隠れする。
 おそらくは調度品の成れの果てだろう。
 塔の高さの正確な数字は知らない……知らないが、物を落とせば壊れる高さなのは分かる。
 だから初めから結論は出ていた。
 アズマリア女王は死んだ。守れず、先立たれた。

「あの……女王様は?」
「見ての通り……間に合わなかった」

 振り返りアリカを見る。青ざめた表情をしていた。
 もしも、と一瞬思う。
 アリカをあの時見捨てていれば、女王を救えたのだろうか?
 そんなことはもう分からない。いくら嘆いても過去は変えられないのだから。

「アズマリア女王は亡くなられた」

 言葉で、明確に、心に刻み込んだ。
 『鎮定』の剣身に映った自分の表情が見えた。
 いつもと変わらない表情。お誂え向きだ。
 悲嘆に暮れられるほど事態は優しくない。
 ……女王ならこの後、どう命令をするのか考える。
 護衛はもうできない……だが、何かを守れというだろう。
 この王城で他に守るべきものは一つしかない。

「変換施設か。他にもう狙う場所などない。アリカ、お前はどうする?」
「……お供します。いえ、させてください」
「好きにしてくれ」

 瓦礫の山から一歩離れ、そして天に向かって祈った。

「アズマリア女王、貴女にマナの導きがあらんことを」

 せめて、その存在、魂が安らかであるように。

「行くぞ、ここにはもう何もない」
「……分かりました」

 走り出し、塔のあった場所から離れていく。
 頭の中は女王のことを思い出そうとしてが、それも断つ。
 自分にとってアズマリア女王は忠誠を尽くす相手で、自身と同じかそれ以上に大切だと思っていた。
 それだけの話。
 具体的な思い出は、今の自分には感傷でしかない。だから、思い出さない。
 変換施設へと続く道を進んでいく。途中で誰とも会わなかった。
 味方の警備兵にも、サーギオスと思われるスピリットにも。
 在るのは淀んで停滞した空気と、外界から切り取られたような静寂だけ。
 自分たちの足音が床を叩き壁に幾重にも反響するが、それが静寂をより一層強調していた。

「……誰もいませんね」

 頷きながら、横目にアリカの様子を窺う。表情には不安が見え隠れしていた。
 確かに、味方も敵も誰一人いないのはおかしい。
 それだけ巧く敵に分断されているのか……良からぬ事態に陥っているのは疑いようもない。
 その時、『鎮定』が強い警告を発した。
 前方にはまだ距離があるが、変換施設の制御室への入り口がある。
 そこから人影が飛び出してきた。
 褐色の肌に、闇のように暗いウィング・ハイロゥを展開しているブラックスピリットで、腰には鞘に納められた神剣が差されている。
 刃のように鋭い眼光がこちらを射抜く。わずかの間、互いに相対する。
 出会い頭の遭遇だ。
 瞬時に相手が構えを取る。居合いと呼ばれる、ブラックスピリットの好む構えだ。
 何者かは分からないが、気配からして只者ではない。相手の始動よりも先にこちらが動いた。

「アリカ、そこから離れろ」
「っ!」

 アリカを庇う形で前に出る。
 『鎮定』から体に力が伝わってくる。
 ブラックスピリットがウィング・ハイロゥで背後の空間を打ち、その反動で一気に加速する。
 黒い矢のように一直線にこちらに向かってきた。こちらも前へと、体がぶれないよう全力で駆ける。
 『鎮定』は体の横で構え、剣先は体の後ろを向く。
 距離が一呼吸の間に縮まる。
 相手のほうが自分よりも速い。頭を抑えられた形になる。
 すれ違いざまにブラックスピリットが抜剣するのと、自分が『鎮定』を振るうのは同時だった。
 刃と刃がぶつかり合い、甲高い金属音が鳴り響き、火花が飛び散り、その間に両者の位置が入れ替わる。
 神剣を通して伝わった重い衝撃に腕が痺れそうになっていた。
 床を滑るようにしながら減速すると、ブラックスピリットはハイロゥの羽ばたき一つで制動をかけ、素早くこちらへと向き直っていた。
 追撃に備えるが、相手は動こうとしない。

「イースペリアの者か。まだ手前の剣を受けきるだけの者がいたとは」

 黒いスピリットが感心したように呟く。
 その物腰やまとった雰囲気、実力から一つの渾名を想起させた。

「サーギオスの漆黒の翼ウルカ……」
「左様で。イースペリアにエトランジェがいたとは知りませんでしたが、貴殿の名を聞かせてはもらえぬでしょうか?」
「悪いが敵に名乗る趣味はない」
「そうですか……ではエトランジェ殿。命が惜しければ、今すぐにこの城から離れることです」
「どういうことだ?」
「手前からこれ以上は……縁があらば、いずれ戦場で会いましょうぞ」

 そう言い残し、ウルカは背を向けてあっという間に離れていった。
 何が、そこまで急かさせているのかは分からない。

「……それと俺はエトランジェじゃない」

 すでに聞こえるはずもないが、言わずにはいられなかった。
 ウルカという脅威は去ったのに、神剣からの警告は止まない。それどころか、先程よりも強くなってきている。
 アリカも同じ状態らしく、困惑の表情を浮かべるばかりだった。

「どういうことだ……ウルカは逃げろと言う……制御室で何かあったのか?」

 その言葉に呼応して『鎮定』が直接心に訴えてくる。
 言葉ではなく、強い響き。それが神剣の声だ。
 神剣によっては言葉を介すらしいが、今までの『鎮定』にその素振りは見られなかった。
 今までにも何度か警告されたことはあるが、それまでとは比べ物にならないほど激しい。
 頭に鋭い痛みが走り、一つのイメージが脳裏に流れた。
 巨大な永遠神剣と、それが二つに割れる光景。

「……なんだ、これは?」

 呟きに『鎮定』は答えず、ただ警告だけを強く発し続ける。

「ランセル様、また制御室から誰か出てきます!」

 言われて振り返った先では、確かにまた制御室から誰かが出てきた。
 今度は二人……ではない、三人だ。
 先頭の男は青い髪の女を担いでいた。その後ろには、しっかりともう一人の女が付き従っている。
 女二人はスピリットで、男はおそらくエトランジェだ。エトランジェはラキオスの軍装をしていた。

(ラキオスが何故ここに?)

 同盟国であるラキオスから救援が来るという話は知っている。しかし、その救援部隊がここで何をしていたかが分からない。
 本当に防衛していたのか、まったく違うことをしていたのか。
 防衛だとしても、女王よりも変換施設を優先させたのか?

「あんたたち、イースペリアの人間か?」
「そうだが何があった?」
「詳しくは言えないが、ここはとても危険だ。今すぐにこの城から離れないととんでもないことになる!」

 切羽詰った声に焦りの表情。演技には見えない。

「とんでもない、か」

 さっきのウルカも逃げろと言う。
 一体、何が起こっている?

「何故逃げる必要がある?」
「そ、それは……」

 男は困ったように言い淀む。本気で困っているように見える。
 この男、隠し事や嘘が下手なのかもしれない。
 印象でしかないが、この様子を見る限り間違えてはいないようだ。

「俺にだって詳しいことが分からないんだ。だけど、さっきから神剣が逃げろと……」

 そこまで言って、男が訝しげな表情になった。
 神剣を持っていれば、他の神剣がどこにあるのか感知できる。
 自分で神剣を持っていることを隠そうとしていないので、俺も永遠神剣を持っているのに気付いたらしい。

「あんたも……永遠神剣を?」
「そうだ。ラキオスのエトランジェ、ユート殿」
「……俺の名前を?」
「有名人だから。あなたが自分で思っている以上に」

 ラキオスのエトランジェ、『求め』のユート。本人を見たのは初めてだが、噂を聞くことは多い。
 ラキオスのスピリット隊を率い、バーンライトとダーツィ大公国攻略の中心となった人物で、それだけに留まらず魔龍サードガラハムさえ討伐している。
 華々しい戦果を挙げた彼を、すでにラキオス国内では過去の英雄の再来とまで噂されているとも言う。

「時間がないのは事実か……何をしていたか気になるが、問い質せる状況でもない」

 制御室で何をしていたかは謎だ。
 それは自分が今考えている以上に重要かもしれないが、今はあえて目を瞑らなければいけない状況だ。
 ユートは真剣に訴えてきた。その表情を見れば、嘘をついていないのは一目瞭然だ。
 それにユートというエトランジェ個人は信用に足りる人物のように見えた。
 これが仮に演技だとすれば、それを見破れなかった自分の不覚か。

「……分かった。城の者にも見つけられたら逃げるように伝えておこう」
「すまない……悪いが俺たちは行かせてもらう」
「……裏口を使ったほうが城からは早く出られる。アリカ、彼らを案内して、君もここから離れろ」
「それは!」
「君は俺に逆らえる立場じゃない。だから、もう一度言う。ユート殿らを案内してここから離れるんだ」
「……分かりました」

 ユートは俺とアリカのやり取りに、どこか苦い表情を浮かべていた。
 不満を感じたらしいが、その理由までは分からない。
 まさかと思うが案内をさせることに……では、ないだろうな。
 こっちの考えを知ってか知らずか、ユートの後ろにいたスピリットが言う。
 茶の髪に緑の瞳、城勤めのメイドが着るような服で、右手には槍状の神剣を握っている。
 外見からグリーンスピリットだと分かる。

「お気遣いに感謝いたします。あなたにマナの加護があらんことを」
「……アリカを頼みます」

 自分の意図を察したのか、グリーンスピリットは深々と頭を下げた。
 そして彼らはアリカを先頭に走り出した。城の裏戸に向かって。
 後姿を見送りながら、胸の内で呟く。

(……お前たちは何を知っている? 何をしていた?)

 いずれ、それを知る機会もくるかもしれないが、今は城内の生き残りを探すことを優先だ。
 『鎮定』はますます騒がしくなっていた。












 話にならない。
 裏門に向かいながら、少し前の出来事を思い返す。
 アリカやユートたちを見送ってすぐに、神剣の気配を頼りに生き残りを探した。
 スピリットが生き残っていれば、兵がそこに集まるか、集まった場所に連れて行かれるからだ。
 最悪の場合、誰も生きていない可能性もあったが、そこまで手酷く叩かれているとは考えたくなかった。
 幸いにも、強くはないが反応を感じた。
 すぐに反応のある場所へと向かい、兵士の詰め所で生き残りを発見した。
 スピリットは片手で数えられるほど少ないが、人間の兵士はそれなりに多い。

(そこまではいい)

 詰め所で指揮を取っていたのは、イースペリアの将軍の一人だ。
 しかし、積極的な軍備拡充推進派で、女王とは反りが合わないことでも密かに知られていた。
 特に最近は同盟国ラキオスの活躍に触発されたのか、ことさら強硬的になっていたとかいないとか。
 その将軍が指揮を取っている以上、無駄足になる公算が高い。
 それでも、目通りを求めて、伝えるだけ伝えることにした。
 ほとんど待たされることなく、将軍の下に連れて行かれる。
 他にも数名の重臣や、護衛の兵士が何人かその場にいた。
 将軍や重臣は自分の顔をどこか詰まらなそうに見た。あまり歓迎されていないらしい。
 この時点で説得は無理だと半ば確信した。将軍は初めから、自分の話を聞く気がないようだ。

「将軍、すでにこの城は持ちません。ここは同盟国であるラキオスを頼って落ち延びるが得策ではないでしょうか」

 差し迫った危険については言わなかった。
 永遠神剣に理解のない人間に、神剣からの警告を伝えたところで理解できるはずもないからだ。
 将軍は怒りで顔を赤く染めて反論した。

「何を馬鹿なことを! 確かにスピリットや城兵の一部は失われているが、サルドバルトの軍勢ごときに城を捨てられるか!」
「そのサルドバルトの部隊によって、我らはすでに手痛い被害を受けています。この上、彼の国を敗れると?」

 戦力差を踏まえての事実だ。戦いの中核となるスピリットは少なく、実力も高くないようだった。
 今のサルドバルトの軍勢にサーギオスのスピリットが含まれていなくとも、これでは戦力差は明白だ。
 城が守りの要として役立つのも分かるが、スピリットの戦いではそれほどの影響にならない。
 それさえも理解できずに無謀な戦いを仕掛けるつもりなのか。

「それにアズマリア女王はすでに亡くなられております……城を守る理由はどこにもありません」
「なんだと!?」

 兵たちの驚きの口調に反して、将軍や重臣らの表情に一瞬喜びが見えたのを見逃さなかった。
 胸がざわつく。表情に出ないように、ざわつきを抑え込む。
 無意識のうちに『鎮定』の柄に手が伸びていた。
 アズマリア女王の後を継ぐ人物はいない。
 元々、イースペリアという国は統治者の選定に特殊な儀式による選択制を採用している。
 女王が昔語ってくれたところによると、儀式の際に神剣に最も祝福されたものが女王になるという。
 具体的なことは教えてくれなかったが、血の繋がりも国民の支持も関係ない特殊な制度なのは理解できた。
 もしかしたら将軍や重臣は自分たちが国の長になるという野心でも持ったのかもしれない。
 それには、あまりに器が小さすぎると言わざるを得ないが。

「女王が亡くなられたとなれば、ますます城を捨てるなどできんわ。城を守ってこそ、初めて女王に忠義を見せれるというものだ」

 将軍の言葉に重臣たちが口々に賛意を示す。
 この男たちは。日頃、女王の意にそぐわず足を引っ張るような真似をしておきながら、今になって女王への忠義などという言葉を。

「分かりました……ならば、私は私の方法で敵と戦いましょう」

 背を向ける。これ以上は茶番に付き合いきれない。
 やはり時間の無駄だった。

「どこへ行く? 貴公は敵と戦わずに逃げるとでも言うのか?」
「お戯れを。先ほども申した通り、私は私のやり方で戦うまでです」
「そんなことが許されるとでも思っているのか!」
「では、どういたします?」

 後ろを振り返り、将軍の目を見る。
 彼は急に怯えたように消沈とした。力ずくでも止められないのは悟ったようだ。

「私が忠誠を誓ったのはアズマリア女王であって、あなたたちではない」

 言い捨てて詰め所を後にする。背後から非難の眼差しが送られてくるが、無視した。
 自分もこれでイースペリア軍から除籍、下手をすれば反逆罪のかどでお尋ね者になるかもしれない。
 ここから自分が生き残って、将軍や重臣も生き残れればの話だが。
 詰め所を出てから、裏門に着くと意外な人物がそこにいた。

「どうしてここにいる、アリカ?」
「あ、遅いですよ、ランセル様」

 アリカが手を何度も振って答える。まるで友人に会ったような態度だ。
 こいつは……一体、何を考えている?

「……ユート殿らに置いていかれたのか?」
「違います。私が自分でここに残りたいと言ったんです。ユート様たちは逆に止めたぐらいですよ?」

 二の句が告げなかった。せめてアリカだけでも確実に逃がせると思っていたのに。
 どこまで離れれば安全か分からない以上、今からではもう間に合わないかもしれない。

「バカ者め」
「ええ、どうせ私はバカですよ」
「まったくだ。救いようがないな」
「そ、そこまで言いますかっ!?」

 むくれた顔をしてこっちを睨むアリカの非難を聞き流す。
 今になって分かったが、どうやらアリカは人間相手にも物怖じしないようだ。
 イースペリアでは、国の方針でスピリットに戦闘以外の様々な教育を施す。
 その過程で人間に耐性がついたのかもしれない。それが、どれだけ彼女の役に立ってきたかは分からないが。
 教育方針がどうであろうと、スピリットが被差別種族という事実は変わらない。

「まったく……あの……他の人たちには?」
「会えるには会えたが、聞く耳持たずというやつだ。どうしようもない」
「そうなんですか……」

 さっきまでと打って変わり、急にアリカは静かになる。眉を根元に寄せた表情は暗い。

「自分たちで選んだ選択だ。こっちが気に病む必要はない」

 アリカは無言だった。表情は取り澄ましていたが、内心は違うのだろう。

「急ごう。かなり時間を使っている」
「はい……」

 今は敵がどこに潜んでいるか分からないので、人目につかないルートを進むことにした。
 まずは東に進んでから北上し、王都の北にある湖から流れる川沿いにラキオス方面へと進むルートだ。
 前にも何度か通った道なので、地理も分かっている。
 うまく行けば街道を進んでダラム、ミネアを経由するよりも早く、ラキオス領内に入れる可能性がある。
 ダラムやミネアの街はサルドバルトに占領されているが、ユートたちが王城にいた以上、すでに奪還されたのかもしれない。
 いずれにしても王都からでは判断できなかった。
 王都の周辺ではサルドバルトのスピリット隊が目を光らせているので、急ぎながらも用心深く進んでいく。
 アリカはこういう移動に不慣れだったが、彼女なりに急いでくれたので予想より早く城から離れていった。
 しばらく歩いていくうちにサルドバルトの監視網を抜けられたと感じた。
 まだ油断はできないが、おそらく大丈夫だろう。
 空を見上げると、星の輝きが弱まり次第に空が白み始めていた。もう少しで夜明けだ。
 『鎮定』の警告は途切れないし、アリカの神剣も同じ状態だった。

「あそこに見える林を突っ切ろう。迂回するよりも早く進める」

 平地よりも小高い場所にある林の中に入り、途中まで進んだ時だった。
 神剣から痛いぐらいの鋭く強い警告が来る。思わず手近な木に手をかけ、上半身を折っていた。
 走るどころか動けなくなるような痛みだった。
 今まで感じたことはないほど強い神剣の反応はどこか悲鳴に似ている気がする。
 何か、恐ろしいモノが来る。
 一方、アリカは俺の側にくると、神剣の柄を地面に突き立てて、王都の方角を向いていた。
 彼女の体は震えている。

「何をしている、アリカ?」
「このままでは逃げられません……ここで凌がないと私たちはっ……!」

 アリカは青ざめた顔をしていた。
 自分以上に、これから襲いくる何かを理解しているのかもしれない。

「何が来るのか分かるのか?」
「……崩壊です。でも、今からじゃ逃れられません……」

 彼女は何かを堪えるように、俯き小さく首を振る。

「私はとても……とても怖いです。でも、何もしなかったら消えてしまうんです……!」

 それでも俯いて答える彼女は、怯えと戦っているようだった。
 手を木から離して『鎮定』を引き抜き、アリカの隣に並んで胸の前で構える。

「防ぐしかないか……本当にその通りだ。何が来るかは分からないが、アリカの言う通りだな」

 少し驚いた顔でこちらを見る、彼女は小さいが確かに頷いた。
 アリカを見て、改めて思い知らされる。
 スピリットには感情があって、決して道具なんかではないということを。
 彼女たちスピリットは人間という種族と、ほとんど変わらない。差がないわけではないが本当に些細な差だ。
 ただ多くの者がそこに優劣をこじつけ、彼女たちを戦いに駆りだし命を捨てさせる。
 人間とスピリットに違いを感じない自分は異常なのだろうか?
 異端であるのは間違いなさそうだが、異常なのかは分からない。

(どうせ自分にはわかりっこない)

 さっきまで、王城での戦いが何かおかしいと思っていた。
 しかし、この戦い以前にすでに何かが『おかしい』のかもしれない。
 命を命として認識できなくなりつつある人間とスピリット。
 それは何かが間違えている証明なのかもしれない。
 何も間違えていなくても、こういう状態を――不幸というのだろう。

(今は止めろ)

 これ以上の余計な思考は命取りになる。
 人間とスピリットの関係は、今この局面の問題の前には何の意味も持たない。

(だけど、こうしてこちらの人間とスピリットが協力するという形は貴重かもしれない……)

 これは胸に留めておこう。忘れるべからず。
 息を大きく吸う。もしかしたら、これが最後に味わう空気かもしれなかった。
 今だに空気に味を感じたことがないのは、残念、かもしれない。
 『鎮定』を正面に向けると準備は整った。

「ここが死に所などと思うなよ。俺たちの存在はこんな所でくれてやるほど安くはない」

 逃げる時間は初めからなかったのかもしれない。それなら、ここで最後の望みに懸けるのみ。
 そうして破滅は大地の鳴動を皮切りに始まった。
 足元から突き上げてくるような振動が立て続けに起こり、次いで城の方角から気違いじみた断末魔が大気を震わせ響く。
 俺とアリカは本能的に全力で障壁を展開させていた。
 一瞬の内に断末魔が障壁ごと、俺たちを飲み込んでいく。
 巨大で、凄惨で、悲痛な、全てを巻き込む唸りのような悲鳴。
 イメージで見た巨大な永遠神剣の叫びとシンクロする。
 道連れという従者を望むその声は、王城から外へと伝播し拡散していく。
 その時、自分の目を疑った。
 王都、それも王城のある辺りが夜明け前の太陽が昇ったように……光り輝いている。
 しかし、それは絶対に太陽ではない。ここから見える王城の位置は、太陽の昇る方角とは違う。
 その時、もう一つの異変に気付いた。
 王城……今は紛い物の太陽がある方向にマナが引き寄せられていくのに。
 初めは少しずつだったが、突然その勢いが強くなった。周囲のマナが急速に失われていく。
 自分たちは障壁を張っているから無事だが、いつまでもこれが続いては!
 断末魔の響きが唸りとなり、耳を圧する。まるで暴風雨の中に取り残されたようだった。

「――っ!」

 突如、左手から煙が上がったと思うと、霧のような金色のマナに還り消滅していった。
 痛みはなかったが、指が何本か消えたような気がする。続いて手首や足の指からも同じようなことが起きた。

(だめだ、確認する余裕が……)

 『鎮定』の力を限界まで引き出そうとするが、ほとんど焼け石に水だ。
 辛うじて、障壁を先程よりは強固にできたが、すぐに両腕がマナに還りだした。
 消耗が激しすぎる。自分を形作るモノが消え失せていく――。

「……――」

 声が衝撃に呑み込まれていた。自分の声が聞こえない
 脳に直接、熱い刃が突き刺さるような痛みが走る。
 『鎮定』が何かをしきりに言ってくるが、理解が追いつかない。
 視界に何度も閃光が走ったと思うと、視野が霞がかり何も見えなくなりそうになる。
 柄に入る力が抜けていきそうになるたび、意識が消滅を拒むように覚醒した。
 時間が長すぎる。現実にはどれくらいの時間が経っているのか解らなくなった。
 自分がどれだけ危険かは考えてはいけない……そこに救いはない。
 その時、自分にかかる圧力がいきなり減った。

(なんだ……?)

 俄かに力を取り戻した視界が正面に立つアリカを捉える。
 アリカはこの状態の中、顔をこちらに向けていた。
 泣きそうなのに無理やり笑顔を作って――唇がゆっくりと動く。

(何を、言った?)

 目尻に涙が見えたのは自分の思い違いか。

(何を、言った?)

アリカが前を向く。

(何を、言った?)

 声を、音を聞かせてくれ。

「――!」

 名前を呼んだはずなのに何も聞こえない。
 声にならないのか音にならないのか。

(何を、言った? 何を言ったんだ?

「永遠神剣『犠牲』の主が命じる――」

 毅然とした詠唱が始まる。聞こえないはずの声が耳に届く。
 再び消えそうになりゆく視界の中で、アリカの背中はどの誰よりも気高く映っていた。

「――護り手となる木々の――」

 明瞭な声で辺りに言葉を響かせていく。強く優しいその響きは、確かな現実感を伴って辺りを包む。
 一つだけはっきりとしているのは。

「――代理者として――」

 これは――別れの言葉だということ。
 きっと、俺は叫んだ。『鎮定』の制約を無視し、叫んだのに言葉にもならない。
 そうして視界と意識、どちらかが先に途切れた。最後に聞こえたのはアリカの声だ。
 嘆くでも恨むでもなく、妙に誇らしく聞こえる心地よい声。

「――存在を護る楯となれ――」

 暗幕を落としたように、全てが闇の中に溶けていった。











1話、了











□初めてだから、まえがき

おはようございます。読まれた時間が朝でなくとも気にしない方向で。
永遠のアセリアの二次創作……如何でしたでしょうか? あれだけでは、なんとも言い難いかもしれませんが。
ともあれ戯事を書き綴ってみようかと。興味のない人は読み飛ばすが吉。

実際の制作時期を考えると短編よりも先に書いているので、これが初めての永遠のアセリア二次創作となります。
初めてなのに無謀にも長編として構成を立ててます。しかもオリジナルキャラを主人公に据えての。
二次創作で、それってどうよ? と言われそうですが、確かにその通りだったりします。
こういう話を書いた人間の言葉じゃないかもしれませんが、やはり疑問には感じます。
二次創作は結局のところ、借りものの設定と世界観で作られるわけです。
そこにオリジナルキャラを割り込ませるのは、二次創作として在るべき姿ではないのかもしれません。
実際そういう意見は強いし、その意見ももっともだと思っています。

でも、一方で二次創作はファン活動でもあるので、多少は多めに見てもらいたい気もします。
つまり書きたい人の自由にさせていいじゃないかという考えですな。
もちろん読む人間がいて始めて成り立つのが書き物ですので、こういう考えはある意味で間違ってるのかもしれませんが。
それでも、一から十まで全てを合わせる必要もないんじゃないかと。

いずれにせよ二次創作の形は常にジレンマとしてあります。
そのジレンマが創作物に反映されないことを密かに祈りつつ戯事を終了。
なんにせよ二次創作って実は定義の固まっていない、人の数だけ定義があるジャンルなのかもしれません。
小説のジャンル自体、そういう気もしなくはないですが。


さて、上の部分は一切抜きにして、自分としては楽しんでいただければ幸いです。
この時間があなたにとって無駄でないように。
それでは次回以降も、気が向いたらよろしくお願いします。



2006年7月6日  不要と判断した箇所を削除。

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