コナラにおける混合花粉による結実種子の解析と配偶者選抜の解明

  Analysis of seed from pollination with mixture pollen
        and clarification of gameto selection in Quercus serrata

  ○鶴田燃海1、加藤珠理1、向井譲2
     1:岐阜大学大学院連合農学研究科 Gifu Univ. The United Graduate School of Agricultural Science
     2:岐阜大学応用生物科学部      Gifu Univ. Faculty of Applied Biological Sciences

 コナラ(Quercus serrata)は成熟前に落下する堅果が多く、雌花数に対して結実する堅果は大変少ないことが知られている。また今までの交配実験より、コナラには強い自家不和合性があることが明らかになってきた。一方で、落下の原因やどの段階で不和合を決定しているのか、花粉親による結実率の違い、配偶者選抜の有無については、ほとんど明らかになっていない。本研究では、コナラの配偶者選抜を明らかにするため、次のような2つの処理の人工交配実験と、分子マーカーによる分析を行った。
 一つ目の交配は、個体Aを母樹、コントロール(無受粉)と個体A(self)を含む5個体(A〜E)を花粉親とし、それぞれの花粉親を個別に交配させた。このとき得られた堅果の数、生産された堅果の生重などを測定した。またそれぞれの交配ペアごとに、堅果生存率(雌花数に対する成熟した堅果数の比率)や生重の比較を行い、花粉親の違いによって生産される堅果に違いが生じるのかを解析した。
 2つ目の処理は、同じ母樹と花粉親を用い、今度は5個体の花粉を混合しての交配を行った。先の交配同様、種子の数より堅果生存率を得た。また、複数個体の花粉親からの花粉が受粉した場合に配偶者選抜が起こるのかを解明するため、分子マーカーを用い、堅果の花粉親を決定した。現在、実生85個体について、5つのSSRマーカー遺伝子座において遺伝子型を決定し、花粉親の推定を行っている。ここで決定された花粉親に偏りがあるかによって、配偶子間に競争or選抜があるかを考察する。

Key ward
   コナラ、人工交配、配偶者選抜、SSR、父性解析
   Quercus serrata, controlled pollination, gameto selection, SSR, paternity analysis