邪剣は消える、修行は取り消しされない…何もかも大変だ。 セリスの中に邪剣は取り込まれてしまった所為もあり、修行は更に難と出ている。 渚の言った、修行内容の変更はこうだ。 ・理術の改良を行い、更なる力を身につける。 ・使用できる理術の種類と、この世の原理と関係する知識を身につけること。 ・邪剣の扱いは非常に難しいため、魂喰らい対策をちきんとしておくこと。 ・剣を扱うので剣術を100種以上扱えるようになること。 もしも、この修行の成果が出ず、魔剣マギナに敗北したならば…。 下記からは、魔剣マギナが覚醒後に行うことだ。 ・刹牙の魔王をセリスと共に探すこと。 ・学園を見つけだし、様々な事を学ぶこと。 ・学園にいる先生の技術は全て見て奪うこと。 これくらいか。 リオ「大変な事になったもんだ。」 今現在、我はセリスと共に修行を積んでいる。 …と言っても、セリスは精神集中しかしてないが。 …。 日は、邪剣を抜いてから1000000年後。 といっても、魔界からすれば…この月日も1/5000の速度で流れているらしいので 歳を取ってる気にはならない。 元々、太陽暦が我が魔界に反映していたらしく、此処にいる月日分だけ精神年齢だけが伸びる結果になったが。 渚「アルトの天力補給してくるから、サボっちゃ駄目だぞー。」 現在アルトは、魔剣マギナの封印の為もあって、一歩も動けない&天力常時消費の状態だ。 渚が、自身の天力をアルトに分け与える事で、封印の長らえることができる。 食事も渚が運んでいるよなぁ…忙しい女だ。 まぁ、そんなこともあって。 …毎日そんなこと言われてれば、嫌でも行けないぞ。 4時間に一度休憩を入れながら修行するシステムで行われている。 我の修行は、剣の修行と知識増加だけだが。 さて、剣の修行でもするか。 渚「あ…。」 リオ「何だ?」 どうやら、セリスだけ感づいたらしく… セリス「…今日は、誰か呼んでますよね?」 とか渚に言ってた。 渚「うむ、今日は学園の先生が訪問してくれるのだ!!」 …例の学園の者か。 恐ろしく強いと渚から聞いた覚えはあるが。 ????「渚ー、このクソガキがリオっていうの?」 そこには、恐ろしく美人な女性がいた。 髪の色は灼焔の赤。 燃盛る太陽の如く、真っ赤な色をした瞳。 動きやすい服装を装っている。 動きやすいといっても、各部位に特殊な鉱石で装甲をしているが。 だが、口が悪そうだった…。 渚「うん、容赦なく修行させちゃっていいよ☆」 ????「おい、其処のガキ。 今から修行を開始するから、とっとと準備にかかるように。 私の名前はセリア。 セリア・ヴァード・ザン・キルヴォストよ、覚えておきなさい。」 我に会う奴に、良い奴はいないのが不思議で溜まらなくなってきたぞ…。 セリア「剣ぐらい、こちらから調達したわよ。」 余りに生意気な女だったので、睨めつける形で眼が合ってしまった…。 リオ「…。」 セリア「…教わる御身分何だから、分かってるわよね?」 リオ「我は魔王だぞ?」 セリア「私だって魔王よ? 魔王なんて斬りに斬り捨てたけど、其れがどうかしたの?」 いや、何でもない。 口応えしたら、真っ先に死に行く様な感じに包まれたぞ…。 リオ「セリスの修行はアレでいいのか?」 セリア「約5年後には邪剣が抜けるだろうし、放っておいても大丈夫ね。」 何で分かるんだよ…。 リオ「…とにかく、修行始めようか。」 何を突っ込んでも、冷静に我が理解出来ぬ事を言い出しそうなので無視することにした。 セリア「そうね、409700年間付添で修行だもの。 無駄な時間は用無し、アンタの言う通り始めましょうかね。」 …真天界崩壊時期直前まで居座るのか? セリア「何か文句でも?」 文句言えば、即死亡とか有り得そうな人だから困る。 リオ「特に…無い。」 セリア「あら、そう…今日の修行内容は…。」 修行内容は、死ぬ程濃かったとしか言えない。 …。 それから、9700年が経過した。 セリス「…ッ!!」 セリスが歪んだ顔をしながら、身体から剣を出した。 セリス…大丈夫なのか…? リオ「…久しぶりだな、邪剣。」 相変わらず、呆けた声で邪剣は話し出した。 リア「おゥ、イイ姉ちャん連れてるねェ…で、何年閉じ込められてたんだ?」 性格が良ければ、セリアと一緒に楽しく修行したかった。 …性格が厳しいから、我が故郷の生活を思い出してしまい…鬱になりかけたぞ…。 リオ「約101万年後だな。」 邪剣は驚く声も無く、言い放った。 リア「あァ…大分時間食っちまったな…俺様の修行を頼むぜェ?」 邪剣を見下し、不敵な笑みを浮かべながらセリアは言い放った。 セリア「任せなさい、邪剣でも聖剣でも伝説の剣でも改造なら得意よ。」 怖い女だ…。 邪剣は現在の状況を理解しているらしいな…。 物分かりの良い剣だなぁ、おい。 リア「まァ…改造でもしてもらわねェと、魔剣マギナの闇の力に簡単に呑まれちまうからなァ。 大体、長期間も封印の媒介にされちまッて錆やら耐久性の劣化やらで俺ァ弱体化してるッつー理由がある。 神の者共が俺に重大な責任を持たせたがッてるッつーのがダルイんだが…まぁ、任された仕事だ、やるしかねェ。 小僧が俺様を上手く扱えるようになってもらわねェと困るってモンもあるが…改造で何とかなるだろ。 さて、どんな改造をするんだい?嬢ちゃんよォ。」 よく喋る剣だな…コレ。 …と思っていたりするが、セリアは当たり前の様な顔をしながら、剣にこう言った。 セリア「全面的に改造が必要ね。 先ず、錆びた部分の修正作業…次にアンタ自身が魔剣の攻撃によって砕けない様にする為に、鍛え直すわ。」 鍛え直す…? 鍛冶でもするのか? セリアの発言に対して疑問を持ったのか、リアは聞き返した。 リア「おいおい…鍛え直すッて言われてもよォ…俺様を打つ技術持ッってンのか?」 伝説の剣すら鍛え直す程の鍛冶師としての技術が、必要になってくるのか。 セリア「技術?持ってなきゃそんな事言わないわよ。 まったく…聖剣グランの方も鍛え直さないといけないっていうのに…。 あー、それと…私は超銀河級鍛冶師第8段の実力者よ。 『"学園"に必要なのは、即戦力になる実力と其れ等を生徒に叩き込める者のみ。』と学長も言ってたしね。 力や技術無き者は、此の先生き残れない可能性がある。 神界で聞いた噂だけど、魔剣は現在…封印から逃れる為に闇の力を溜めてるらしいわね。 あの魔剣が力を開放したら、異次元世界4つは軽く消えると言っても過言では無いの。 それだけ魔剣は恐れられてるって事。 ホント…恐ろしい時代になったものよね。 因みに、邪剣を強化し終わったら…私は帰るから。」 帰る…だと? リオ「おい、セリア…剣の強化は良いが…我の修行はどうするんだ。」 セリアは面倒臭そうに、言い放った。 其の顔は、どこかしら微笑んでいたように見える。 その顔を、我が魔界のどこかで見た覚えがあるような…無いような…。 セリア「うふふ…全300ページに及ぶ一冊の教材を渡すわ。 私からの最終課題だから、全てやっておくこと。 今のアンタの強さじゃ魔剣と交わったところで、瞬殺されてお終いだし。 基礎的な部分は9700年間で十分叩き込んだつもりよ。 それを十分に生かしながら最終課題に取り組みなさい、以上。」 本当に心強い先生で、色々と助かった気がする。 セリアに少しながら気になったことを、聞いてみた。 リオ「了解…ふむ、そういえばセリア…我と過去に会った覚えはあるか…?」 怪訝な顔をされたぞ。 やっぱり気のせいか? セリア「アンタの故郷の城の舞踏会で、一度だけ世話になったことならあるわ。 400回以上も招待状をよこして来たからね…一回はお邪魔したわよ。」 親父…粘着しすぎだろ…。 どれだけ自分の城に来て欲しかったんだよ…。 セリア「学園に招待状を寄こす時点で、様々な意味で勇者だと思うわ。」 …どうしてだ? 実に気になるな…。 リオ「何故だ?」 セリア「あぁ…理由は、学園に手紙なんて来ても9割9分の確率で焼却処理されるから。 読む前に燃焼処理されて読めない何て事なんか、日常茶飯事だからね。 あ、早く作業に掛かりたいから余談は此れで終わりね。 私には、あまり時間が無いから。」 そうセリアは言うと、邪剣を抜き…鍛冶のできる場所に転移した。 …教材は無造作に足元に放って去ってたか……。 教材には何が書いてあるのか気になるな…。 内容を見て絶句した事は言うまでも無かったが。 …。 時は我が修行の書物の内容を半分こなしてきた頃。 セリアが鍛冶しに去ってから20万年後…。 リオ「セリス…御前は20万年間の間、何やってたんだ?」 200年間の間、修行に追われ話す期間が多少しか無かったので聞いてみた。 セリス「…魔剣封印解除期間の把握、私の能力の効力増加…くらいかな。」 凄いことしてるな…。 我は、セリアの教材に振り回されてたぞ…。 内容は長いので言わないが。 リオ「次は…これか…邪剣の理を学べ…と書いてあるな。 最終課題か…頑張ろう。 さて、この課題の開始から完了までの制限期間は…太陽暦82607年内か。 ふむ…魔剣の封印が解除される1年前に終えろという事か。」 教材半分の内容は"邪剣の知識"の表記は魔術で圧縮されていた。 解凍すると教材のページが恐ろしく増加しそうだな…。 セリス「頑張れ♪」 にこやかに言われてしまった…。 や…やるしかないか…。 まずは…理術で圧縮率を調べるか。 リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりて対象の魔における圧縮率を測定したまえッ!!」 空中に文字が出現した。 【教材の後半に魔術反応を確認。】 【測定を開始。】 …長いな。 …30分後。 嫌な予感がしてきた。 【測定完了、圧縮率を表示。】 【教材の圧縮率99.99999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999237%】 ちょっと待て!? 何だこの数値は!! 恐ろしい圧縮率だな…解凍すると約15000ページになるのか。 解凍するか。 リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりて対象の本の解凍を開始せよッ!!」 また空中に文字が出てきたな… 処理に相当時間がかかるのか? 【刹牙の魔王セリア・ヴァード・ザン・キルヴォストの魔力を感知。】 刹牙の魔王だと…? 全異次元世界で指で数える位しか人数がいないと聞いたな。 盗み聞きした情報何だけどな…。 【複雑かつ非常に不安定な魔力を利用して術式を掛けてあるため、魔力の解析から開始。】 【魔力形式:理力、魔力】 【術式:魔術97%理術3%の構成で構築された特殊な術式を採用している。】 理術が使えるのか…? それか、意識していないにも関わらず、自動的に発動してるか…だな。 恐ろしい女だ。 【術の構成内容:強引物質圧縮】 強引に圧縮するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああッ!! 処理が長くなる原因は恐らく…いや、確実に此れだろう。 【解凍を開始】 …2年経ったぞ。 【解凍完了】 ふむ…やっと終わったか。 あまりの状況の酷さにセリスが同情してくれたのか、困った顔をしながら我に話しかけてきた。 セリス「あはは…大変だね。」 最早、大変とかそういう問題では無い気がしてきた。 リオ「あぁ…大変以前の問題で、非常に面倒だ。 さて、修行するか。」 我は物事を覚えることが得意だ。 基本的に本を読み、内容を完全に覚えるという簡単な物であったが…。 だが、難しい専用単語等の所為で相当時間を経過することになった。 なんだかんだで、制限期間ギリギリ1日前に終了。 暇になってしまったので、教材の最後の内容を確認した。 其処に記述してあった内容は、こんなものだった。 『魔剣戦に備えて、しっかり休養を取っておく事!!』 …暇になりそうだ。 そうだ…魔剣の封印は何時解けるんだ? リオ「セリス…魔剣封印解除までの期間は残り何日だ?」 セリス「残り368日だけど、約7日の誤差が発生すると思う。」 そうか…。 361日から375日後に封印が解けるのか。 セリス「多分その期間より早く封印が解除されると思うよ。 私が能力で現在の魔剣の成長族度と適合して測定しただけだし。 何らかの理由で、魔剣の成長速度が早くなれば、聖剣を媒介とした封印は直ぐ解除されると私は見込んでるよ。」 魔剣の成長速度? 魔剣は自動的に強化されるのか? リオ「ちょっと待て、魔剣は…」 セリス「リオ君の推測は正しいよ。 あの魔剣はグロウ・ダークと呼ばれる"成長する闇"と一時的に同化してる剣だから。 その"成長する闇"が毎ミリ秒"闇の力2乗"の効果を働かせてるし…。 グロウ・ダークには生命体…簡単に例えるなら肉体と同化する状況を、与えることは絶対避けないといけない。 肉体と同化したグロウ・ダークは、同化された者や死者の潜在能力を生かすことが出来るの。 だから、早急に対処せねばならないけれど、封印中に攻撃…というか衝撃を与えると封印が強制解除される可能性がある。 早急に対処せねばならない物質を早めに対処しない理由は他にもあるの。 第一に異次元世界の崩壊…此処…真天界は確実に崩壊すると思う。 封印が解除されたと同時に、魔剣が暴れだす可能性があるって事。 第二にグロウ・ダークは凶暴かつ思考を持つ"闇"だってこと…思考を持ってるって事が一番厄介なんだよ。」 一時的に同化…つまり同化対象は何時でも変更可能ってことか。 生命体と同化させられると戦いは一気に劣勢になる可能性もあるな…。 思考を持っている闇? 思考を持っているだけで影響性は、どれだけ出るのだ? セリス「其処までは分からないけど…早めに対処せねばならないのは事実。 セリアさんが住んでいた世界は、グロウ・ダークによって消されてたとセリアさん本人から聞いたし。」 異次元世界を軽く消す程の強さを持っているというのか…。 我等が向かう道に、グロウ・ダークという強大な闇が立ちふさがるというならば…全て斬り捨てるのみ。 それがセリアと剣を交えて教わった孤軍奮闘の意志だ。 学園から教わった事を全てを吸収しろと言われたのだ…。 意志だろうが技術だろうが術だろうが全て吸収して、グロウ・ダークを打倒して見せる。 其れが…我に課せられた使命ならば…。 第十六章に続く