永遠のアセリア 1
Recordation of Suppressor
30話 二つの道
2
リレルラエルを巡った戦いはラキオスの勝利という結果を迎え、今は市街の視察など戦後処理に移っていた。
後から遅れて駐屯兵などや、技術者、工夫らが派遣されてくる運びとなっている。
俺はというと、アリカたちの様子を見舞いに行っていた。
スピリット隊が臨時に詰めているのは、サーギオスの執政官らが住んでいたらしい邸宅だ。
邸宅というよりは、貸し住居か。同じ広さをした部屋がいくつもある建物だった。
内部の広さが同じでも部屋の様式は部屋ごとに異なっている。もっとも、いずれも質素な部屋ばかりだったが。
その内の一室で、アリカを初めとしたウルカ隊の生き残りは安静にしていた。
部屋の戸を叩いてから、部屋に入る。
四つのベッドが入り口から奥まで二つずつ並び、半分以上の場を占めていた。
ウルカとハリオンはベッドの横で椅子に腰かけている。
入ってすぐに、ウルカとハリオンの二人と目が合う。
ウルカは深々と黙礼をしてから、ハリオンは相変わらずの口調で朝の挨拶をしてきた。
ハリオンには意味ありげに笑われるから困る。
部屋には四人のスピリット――アリカたちがベッドで眠っていた。
あの戦闘から半日以上が経過しているが、誰一人として一向に目を覚ます様子はない。
「やっぱり気になりますか〜?」
「……俺がやったことだからな」
気にならないはずがない。その心配を見透かしてか、ハリオンは満面の笑みを浮かべる。
「大丈夫だと思いますよ〜。今はまだ体力が落ちているから、こうして眠っているだけですから〜」
「……そうだな」
その説明は昨日も受けていた。こうなると俺にできることはなく待つしかない。
「ランセル様もまだ本調子じゃなさそうですね〜」
ハリオンにそんなことを言われる。図星だ。
どうにも体から疲れが取れないし、かといって睡眠を取ろうにも意識は普段のように覚醒していた。
なので、気だるい疲労感からは逃れられないままだ。血を吐かないだけ、いいほうと考えるべきなのか。
「ランセル殿もここで目を覚ますのを待ちますか?」
「いや……後でまた顔を出すよ」
ハリオンはもし容態が悪化した時の頼みの綱だから当然として、アリカたちが起きて最初に顔を合わせるべきなのはウルカだと思う。
そう考えると水を差したくないという気持ちが急に強くなってきた。
大体、いざ顔を合わせて何を言えばいいのか。そもそも何かを言ったほうがいいのかと、取り止めもなくそんなことが頭を過ぎる。
それなら今はここにいないほうがいいだろう。
部屋を出て行く前に、四人の顔を一人ずつ見ていく。
……今でもまだ、彼女たちの声が耳に、頭に残っていた。
まだ、これからなのかもしれない。彼女たちが生きていくためには。
「ランセル殿」
ウルカに呼び止められる。彼女は椅子から立ち上がって、すぐ前まで歩いてきた。
「此度のことはどう感謝を申せば……」
「俺はただどうにかしたかっただけだ。それより、任せてくれて助かった」
一息つく。ウルカにとって特別なスピリットたち。意味合いも重みも違うだろうが、俺にとってもやはり特別だ。
「アリカたちが起きたら笑顔で迎えてやるんだぞ?」
「……承知しました」
初めは少し不思議そうな顔をしてから、ウルカははっきりと頷いた。
そうして部屋を出て行く。この部屋は俺の結果なのかもしれない。そんな風に思う。
部屋を出て、とりあえず外に出てみる気になった。
邸宅の入り口には幅の広い石段があり、そこを降りて歩けば左右と正面に大通りが広がっている。
大通りの脇には他の建物が立ち並んでいた。少しうらぶれたように見えるのは、偏見だろうか。
街中を意識する場所で寝泊りしてこなかったせいか、あまり慣れない立地環境だ。
見上げた空は晴天。今日は珍しくちょうどいい天気だと思えた。
大通りに人影は見当たらない。恐れて近づかないのか、それどころではないのか。どちらでもいいが。
(遠くに来たものだ……)
不意にそう思う。イースペリア王国が消滅してから、もう丸一年以上経つ。
時の流れは無常というべきか、優しいというべきか。
今は当時を思い返しても、冷静に事実として受け止められるようになっていた。
……それとも早い内からそうだったのか。だが、今でもアズマリア女王のことを考える時だけは、落ち着かないざわめきのような感じがある。
今でも分かっていないからだ。誰があの人を手にかけたのか。
不審死。状況が分からない以上はそう呼ぶしかない。
いつかは、その姿も分からない相手と向かい合う日が来るのだろうか?
多くのものを失った代わりに、多くのものを得てきた。
だからこそ分かりもする。真に失われたものは、二度と戻らない。
(どう思う……)
ラキオスに身を投じた理由。
当時はユートたちを疑っていたこともあるが、もう一つの大きな理由はそれがアズマリアの意志に応えられると思ったからだ。
今の俺を見て、あの人は何と言うのか。
分からない。しかし、ラキオスに身を寄せ、ユートたちと共に戦ったのは間違いじゃなかった。きっと、胸を張れる。
ラキオスとサーギオスの戦争は激化しながらも、少しずつ終わりに向かっているように思える。
その先に待つ世界は、どうなっているのだろう?
どのような世界を望んでいくのだろう?
3
一方、病室代わりの部屋ではハリオンがウルカに話しかけていた。それは場を暗くしないための配慮か、それとも性格なのか。
ウルカも特に嫌そうな素振りは見せていないし、内心もそうであった。
天賦の才とでもいうべきか、ハリオンはごく自然と自分のペースに周囲を巻き込んでいく。
これが時に場を和ませ、時に頭痛の種ともなるが、往々にして彼女の雰囲気はそれでもいいかと思わせる。それ故の天賦。
ウルカは話の切れ目で、眠るアリカたちの顔を見ていく。今度はハリオンも話さずに、その顔つきを見ていた。
「不思議な感じがします。こうして皆の顔を見れる日がまた来るとは」
「これもランセル様が頑張ったからなんですよ〜」
「はい。感謝に堪えません」
「……そういえば、そのランセル様ですけどね〜」
ハリオンは声を潜め、笑みを深くする。何かを言いたくてこらえているのが一目で分かる。
「どうかされたのですか?」
「初めて笑ったんですよ〜」
「初めて……ですか?」
「私は初めて見ましたね〜。そちらのアリカさんが無事だと分かった時に気が抜けたんでしょう、笑ったんです〜」
「そんなことが……」
ウルカはまじまじとアリカの寝顔を見つめる。
考えてみれば、ランセルの笑顔をウルカは見た覚えがない。年少組に絡まれて苦笑いを浮かべている姿はあるが、それを純粋に笑みと呼んでいいかウルカにも疑問である。
「いつかお姉さんがとっておきの方法でみんなの前で笑わせるつもりだったんですけど、先を越されちゃいましたね〜」
「どんな手段を……?」
「それは秘密です〜。切り札は最後まで見せない必殺の一撃なんですから〜」
ハリオンはそう言って笑うばかりだ。ウルカも興味は抱いたが、しつこく聞き出そうとはしなかった。
その時、眠っていたアリカの目蓋と眉が小さく動く。
二人はアリカの顔を覗き込んでいると、アリカの目蓋をうっすらと開いた。
瞳は琥珀の、本来の彼女の色に戻っている。
視線が当て所もなくさ迷う。まだ意識ははっきりしていないようだった。
少し経ってからアリカの首がウルカのほうへ傾いだ。
「夢……ですか?」
「……夢ではない」
「だったら……もう少しだけ、近くまで……」
囁くような望みに応じてウルカは顔を近づける。
アリカはその目を、顔を見つめ返す。目の前にいるウルカを焼きつけるように。
「隊長……」
「おはよう、アリカ」
ウルカは笑う。言われたからではなく、自然とそうしていた。
「おはよう……ございま……」
アリカの言葉は最後まで続かない。右手でゆっくりと顔を隠す。
彼女は長い夢から、ようやく覚めた。
その場にあって、ハリオンはアリカの容態が安定しているのを確認してから告げる。
「用事があったのを思い出しましたので、私は失礼しますね〜」
見え透いた嘘ではあったが、ウルカはその気遣いを遠慮なく受け取った。
笑みを残して部屋を出て行ったハリオンだが、その後もしばらく部屋の入り口で待機している。
状況が急変した場合に備えてだった。
そんなことは露知らず、ウルカはアリカと話し始める。
とはいっても、その会話もあまり長続きはしない。
元々、ウルカはこういう時に話すのが苦手なほうであったし、アリカもまた体力が落ちているので話に集中し切れていない部分がある。
しばらくしてから、ウルカはため息を一つ吐いた。
「手前の力が足りなかったばかりに、苦労をかけて……」
「……それは違います、隊長。力が足りなかったのは……私たちも同じでした」
遠くを見るようにアリカは呟く。事実、今の彼女は過去に思いを馳せていた。
「……嫌なことはそう簡単に忘れてくれないみたいです」
「すまない……」
「どうして……隊長が謝るんですか?」
アリカは訊いた。細めた目は優しさを
「誰が、何が悪かったという話ならもう止めましょう……私たちはもう痛みを受けました。学ぶだけの痛みを」
アリカの表情は変わらない。
「だから……隊長はそんな顔をしないでください……」
そうしてアリカは目を閉じる。次に目を開けた時は、いくらか疲れているようだった。
「こうして話せる日がまた来るなんて……思いもしませんでした」
「……同じことを考えたよ」
「ランセル……でしたっけ、あの人」
呼び捨てにしているのをウルカは咎めない。それよりも、はっきりと分かっていたほうに驚いた。
「分かるのか?」
「はい……あの人の声……ずっと聞こえてたんです。嫌な女と言われてしまいました」
冗談めかしてアリカは小さく笑う。
「不思議でした……あの人の声は胸のもっと奥に突き刺さるみたいで……でも嫌な感じはしなかったんです。思い出すと……恥ずかしいですけど」
ウルカは何も言わなかった。しかしアリカがランセルの話をしている時の顔を見て、何か甘酸っぱいものを感じもする。
その理由はウルカにも分からなかったが、こそばゆいような気持ちには陥った。
「隊長は……これからどうなさるおつもりですか?」
「……今の手前はサーギオスの漆黒の翼ではない。ラキオスのウルカ・ブラックスピリットだ」
ウルカの言葉にアリカは小さく頷く。
「アリカたちこそ、どうするつもりだ?」
「……みんなが起きたら考えましょう。でも、答えはもう出ていると思いますよ」
アリカはもう一度微笑んだ。
「私たちが望んだ居場所は、隊長の近くなんですから」
夜になって召集がかけられた。集まった顔触れは軍議の時とほとんど同じだ。
大きな違いは、いつ到着したのかイオが参加していることだった。
何か状況に変化が起きたということか。
内容は今後の戦略に関するのだろう。
リレルラエル攻略後はセレスセリス、ゼィギオスを経由してサーギオス王都を目指すことが決まっていて、一部の部隊がそれぞれの街で防衛の任に就くはずだった。
これは戦争の早期終結を目指してのものだ。
コウインがいつものように全員の前に立つ。その右にはエスペリアがいて、白板も置かれている。左側の外れた場所に用意された席にイオは座っていた。
こういった光景にも、随分と見慣れてきた。元々、コウインの立ち居振る舞いは堂に入っていたせいもあるのか。
話し始めからコウインの口調は軽い。普段通りの話し方だ。
緊張させる必要はないということか。
「前置きはこの辺にして……状況に変化が起きたから、こっちの動きもそれに対応しなくちゃならない」
コウインの言葉をエスペリアが引き継ぐ。
概要はこうだ。
セレスセリス、ゼィギオスを経由するのは変わらないが、それとは別にシーオスを経由してサレ・スニルを目指す南西側の進攻も必要だということ。
これはリレルラエルを奪還しようとする敵を叩くだけでなく、帝国南のユウソカ方面からの増援を抑える理由もある。
しかし問題もあった。二方面作戦であることだ。
戦力を二部するといっても、単純に半分に分ければいいものでもない。
加えて主力がゼィギオスを目指す方針は変わらない。サーギオス王都にはそちらのほうが早く到達できるからだ。
だが、そうなるとサレ・スニルを目指す部隊の戦力が不安となり、戦力の各個投入という愚策になる可能性もある。
当然、その点についての指摘も上がった。
その一つに、セリアの質問がある。
「そもそも本当にサレ・スニルを攻略する必要があるのでしょうか?」
それを受けてコウインはこう答えた。
「落としておくと安全なのは確かだ。ちょっと考えてみて欲しいんだが……」
コウインはそう言い、白板に自ら図を描いていく。
「サレ・スニルを無視してゼィギオスを攻略してから秩序の壁に取り付いた場合、俺たちが防衛しなくちゃならないのはこのリレルラエルとゼィギオスの二箇所となる。秩序の壁の防衛機能は不明だが、法皇の壁と同程度とは考えてもいいだろう」
皆の脳裏に法皇の壁を巡った戦いが過ぎったのは、想像に難くない。一様に、渋面のような表情をしていた。
「この状態で二箇所の街を守るための戦力を捻出するのはかなり辛い。しかも、防衛戦力をさらに二つに分ける必要がある」
……つまり、二つの街を同時に守ろうとすると戦力の維持が困難だと言いたいのだろう。
そしてリレルラエルかゼィギオス、どちらが陥落してもラキオスは背後を突かれることとなる。
結果は考えるまでもない。
「逆にサレ・スニルを攻略した場合、ユウソカ方面一方だけに戦力を残せばいい。そのほうが守りやすいのは分かるな?」
「……どの道、部隊を二つにせざるを得ないなら、守るべき場所を絞れる環境にしたい、そういうことですか?」
「そういうことだ。その点についてどう思う?」
今度は反対もなかった。セリアもどうやら納得したらしく、図面に視線を向けていた。
コウインも反対意見がないのを確認してから編成を発表する。
ゼィギオス方面はユート、コウイン、キョウコを中心に第一詰め所に詰めるスピリットたち。さらに稲妻の面子。
サレ・スニル方面は俺と第二詰め所のスピリットたち、そこにウルカを加えた布陣となっている。
「……偏ってませんか?」
誰かの一言は全員の共通認識でもあった。
中心となるのがゼィギオス方面だとしても、これは釣り合いが取れてないように見える。
「それだけど、一つ付け加えておきたい」
コウインがウルカを見る。するとウルカは頷き返した。
「ウルカの部下たち四人が一命を取り留めたのはもう知ってると思うが、彼女たちも俺たちと共に戦いたいそうだ。どう思う、ランセル?」
「俺か?」
「助けたのはランセルだろ? だったら意見を訊くのは当然ってやつだ」
言われて考えてみる。いや、考えるまでもなく答えは出ていた。
「彼女たちがそう願うなら、それでいいと思う」
「なら決まりだ。ランセルは先輩として、ラキオス流のやり方や規則を教えてやるように」
「……俺が?」
「最後まで面倒見てやれよ」
その言い分は間違えていないとも思うが、にやけた表情で言われると承服しがたい何かがある。
まあ、いい。気にならないと言えば嘘だ。避けられでもしない限りはどうにかしよう。
「分かった。色々教えておく」
「なら続けるぞ。四人がそっちに加われば、随分と楽になると思うんだ。なんたって腕利きだからな」
その言葉はウルカに向けられていたようだった。ウルカも自信を持って頷いている。
実際、アリカの戦闘能力は普段の俺と比較しても遜色ない……というより、上に位置しているはずだ。
この状況下で、そういった四人が入るのは心強い。
「戦力的にサレ・スニルのほうが辛いのは分かってるけど、やってもらいたい」
その一言で、皆の気持ちも固まったのだろうか。方針に反対する者は一人もいなかった。
そうなると話は進んでいき、細部の編成に話が移る。
「南西方面の部隊はセリアに指揮を取ってもらうとして、ランセルにその補佐を頼む」
「……できるのか?」
「やれると思うぜ。まさかセリアに全部押し付けて、自分は何もしないつもりじゃないだろ?」
なんだ……脅迫のように聞こえる俺がどうかしてるのか?
とはいえ、コウインの言うことはもっともだ。
「了解した」
「よし。それから、そっちにはイオが同行することになってるから、よろしくな」
そうしてイオが立ち上がる。彼女は黙礼してから、口を開いた。
「今回は特別に皆さんと同道することとなりました。まずはその理由を説明したいと存じ上げます」
丁寧な口調で彼女は説明を始めた。
まず第一に二つの部隊間で相互に連絡を取れるようにするため。
イオがいることで、精確な神剣交信が可能となるためだ。
こちらからも連絡を取れるし、ユートたちからも稲妻のスピリット経由で連絡を取れる。
そして第二。むしろ、これがイオが参加した本来の理由とも言えた。
「剣聖ミュラー・セフィス……その人物を登用するよう命を受けてきました」
誰もがその名を聞き、しばし戸惑った。
剣聖ミュラー・セフィス。名前と噂だけなら広く知られている。そして、実際の正体はほとんど知られていない謎の人物。
実在していたのか、というのが正直な感想だ。でなければ、そのような命が下るはずはない。
「大体の居場所は判明していますが、そこはサーギオスの勢力圏内なのです。ですから、私にできることは少ないですが、それならば少しでも協力したいと考えています」
イオはそう言う。彼女を戦力として数えることはできないが、行軍の最中に頼りにできる場面は多いだろう。
何より、相互の連絡が取りやすいというのは非常に大きい。
「そういえば、ラキオスのほうは変わりないのか?」
そう聞いたのはユートだった。確かに前線にいると、なかなか情報が入ってこない。
イオは頷きつつ、答える。
「レスティーナ陛下もヨーティア様もお変わりありません。市民の皆様も特に不満を訴えることはなく、今のところは問題ないと判断してよろしいでしょう」
「そっか……」
「それから一点。ユート様が奪取してきたマナ結晶体と研究資料により、魂を解放するための治療法が確立されつつあります」
「治療できる……そういうことなのか?」
「はい。現在は最初に治療を受けたスピリットたちが回復訓練の真っ最中です。まだ経過を診ないと断言できませんが……私が発つ前の経過は極めて順調でした」
一同の間に安堵のため息が漏れる。
……その情報がもっと早ければ、安全にアリカたちを助けることもできたのではないか。そんな風にも考えてしまう。
だが、その考えはすぐに打ち消した。
無力化したにしてもラキオスまで護送する手段は手間がかかりすぎるし、何より治療を待つスピリットたちはまだまだ多い。
私情を挟める方法ではなかった。
イオの報告を最後に、この日の軍議は終わりを迎える。
明けて次の日、ユートたちがリレルラエルを発った。俺たちはもうしばらくリレルラエルに留まってから進攻を始める手はずとなっている。
道は二つに分かたれていた。しかし、目指すのは同じ場所。
行き着く結果を、まだ誰も知らない。
30話、了
2007年4月19日 掲載。